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青藍(せいらん)な日々

青藍(せいらん)な日々

第98話 キャビン、キャビン、キャビン



ヨットを探してある方、殆どの方々がキャビンと言われます。キャビンの広さです。何人寝れるか?
どれだけ広いか?1,2,3,4,5,6人寝れるとバースのスペースを数えて、カウントされます。
気持ちはわかる。でも、キャビンなんて、ロングクルージングにでも行かない限り、たいして必要
でも無いのです。住まない限り大きなキャビンは不要です。みんな、キャビンを考えて、想像を膨ら
まし、大きなキャビンが良いと思う。大量生産艇はこれでもか、と新しいモデルを出す度にキャビン
を膨らませてきます。これによって、どれだけの楽しいセーリングが失われているか、考えた事あり
ますでしょうか?

限られたサイズで、他の造船所のヨットより少しでも大きく見せる。これが売れるポイントのひとつ。
長さが限られていますので、横に上に伸びる。広いキャビンがどうしてもほしかったら、ロングに行く
とか、ホテルなど泊まらないで、キャビンで寝るとしたら、家族がいつもついてくるとしたら、サイズを
でかくする事です。それを横や上に伸ばすものですから、どうしても短いサイズのボリュームだけ
でかくなる。これはセーリングするという点において、良い事は無い。セーリングが二の次なら別で
すが、ヨットに泊まらないなら、セーリング以外何をします?セーリングもしないなら、何の為のヨットか。

30フィートで6人寝れる。40フィートで6人寝れる。30フィートの方が当然価格が安い。こうやって、選択
しています。ヨットでは無く、動く別荘です。もはやヨットの粋からはみ出そうとしている。別荘なら別荘と
割りきってかまいませんが、別荘は誰も使わない。どこの別荘地に行っても、がらがらです。最初だけ
来て、後はいつもがらがら、それでも維持費はかかる。結果、家の周りは草だらけ、こんな別荘がたくさん
あります。別荘として使うなら、本当の別荘の方がはるかに快適です。その快適なはずの別荘ががらがら
なのに、誰がヨットに来ますか。セーリングできる別荘だから違うと思うでしょうが、波や風が出て、快適
な時ばかりではありません。船底形状によっては、夜寝ていると、波の音がぺたぺた音がする。その音も
規則的なら気にならなくなるんですが、不規則ですので、これが寝れない。

結局、誰もヨットに近づかなくなるんです。ヨットは住まう為にあるか、セーリングする為にあるか、どちらか
です。そして多くの欧米人が住まう。そして、それに満足しない連中がスポーツヨットに目覚めてきている。
レーサーのように大人数では不便、だからシングルハンドでも簡単に動かせるヨットに目覚めてきている。
私はこう見ています。まして、ヨットに住まない日本人の方が、もっと早くこうなるべきだった。

大量生産艇は今のキャビン拡大傾向が続くでしょう。住まうという事と、もうひとつ大きな市場として、チャー
タービジネスがあるからです。このマーケットは非常に大きい。一度に何十艇も注文していきます。世界の
海にそういうビジネスがある。チャーターの場合、お客様を案内するのに、キャビンがでかくてみかけが良い
のが良い。安いのが良い。確か、5,6年で新しいヨットに更新されていくと思います。だから造船所はこの
市場を狙っています。

でも、今、新しいコンセプトヨットが出てきた。チャーターでも無く、住まうわけでもない。本当にセーリングを
オーナー達が楽しみたいと思ってきた。それに向けたヨットです。これが日本人には絶対合うと思うのです。
そうすれば、マリーナのヨットの動きは活発になる。活発になれば、マリーナが活気づく。マリーナが活気を
取り戻せば、オーナー達も気分が上がります。そうすればさらにヨットが動く。相乗高価ですね。みんなが、
セーリングの醍醐味を味わい、セーリングが好きなる。好きになると、ヨットに接触する機会が多くなる。そう
多くなったら、ヨットに泊まる人が出てくる。そして中には住まう人も出てくる。順番が違うのです。もし、セー
リングが面白く無いものであったら。ヨットなんて、とおの昔無くなっていますよ。



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